あなたの家は木造?RC?SRC? 構造別で違うリノベーションの方法
人間の体と同じように、建物には骨組みがあります。不動産では柱や梁を組んで組み立てられるこの骨組みを構造といいますが、家には木造、RC造、SRC造というように、さまざまな構造があります。
構造が違えばそれぞれの特性も異なり、リノベーションできることとできないことが変わってきます。リノベーション目的で中古物件を買う前に、構造別で違うリノベーションの方法を確認しておきましょう。
木造でリノベーションできること、できないこと
木造構造の場合、昔ながらの大工さんが建てるイメージがあるでしょう。木材の柱、梁、筋交いで骨組みを組み立てる工法で、自由度が高いのが特徴です。建物を支えているのは、梁と柱と筋交いですから、間取りの変更が容易です。間仕切り壁を取り払って広々とした部屋に変更したり、天井に吹き抜けを作ったりと、比較的自由自在に広い空間を作ることができます。
しかし、これは木材の柱、梁、筋交いで骨組みを組み立てる「在来工法」の場合のことで、同じ木造構造でも「2×4(ツーバイフォー)工法」の場合は異なります。2×4工法は枠組み壁工法とも呼ばれ、木材で組まれた枠組みに構造用合板を打ち付けていく工法であり、壁全体で建物を支えます。そのため壁を取り払うことができず、間取りの変更が制限されてしまいます。
なお、自由度の高い在来工法でも、構造体を支える柱をむやみに撤去することや、建築基準法で制限されている建ぺい率や容積率を超える増築をすることはできません。
RC造でリノベーションできること、できないこと
鉄筋を組み、型枠をはめてコンクリートを流し込む鉄筋コンクリート(RC)造。一般的にはマンションなどの集合住宅に多い工法ですが、一軒家でもRC造の家があります。RC造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種があり、一般的に一軒家や5階程度までの低層住宅は壁式構造、それ以上の中高層住宅ならラーメン構造です。
ラーメン構造の場合、柱と梁で建物を支えているため間取りの変更が比較的自由に行えます。しかし、住戸の四隅に柱部分が飛び出しているため、広々とした空間を作ったときにデザイン的に邪魔になる場合があります。この柱を上手く利用してカウンターを設ける、収納スペースを設けるなどの工夫が必要です。
一方、壁式構造では建物を支える耐力壁を撤去することができませんから、間取りの変更が制限されてしまいます。それでも一軒家の場合では、耐力壁の一部をくり抜くなどの工夫で空間を広げることは可能です。なお、サッシや窓を設置したくても、新たに設置を希望する位置が耐力壁になっている場合は難しいかもしれません。
SRC造でリノベーションできること、できないこと
鉄筋コンクリートに鉄骨を内蔵させた構造の鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造。比較的小さい断面で強い骨組みを作ることができるため高層建築に用いられます。この構造はマンションなどの集合住宅がほとんどですから、リノベーションは専用部分に限られます。玄関ドアやベランダに出るサッシ、窓の変更などはできません。中高層RC造同様「ラーメン構造」のため、専用部分の間取りの変更は比較的自由が利きやすいといえるでしょう。
建物の構造によるリノベーションの違い
建物の構造の違いによるリノベーションの可否を紹介しましたが、ざっくりいえば間取りの変えやすさの違いということになりそうです。物件によって細かな難易度に差はありますが、水回りや配管設備などのリノベーションはほとんどの構造で可能です。
どのようなリノベ―ションをしたいかによって物件が絞られる場合もありますが、構造そのものの特質や費用面などトータルに考えながら検討するのがいいでしょう。
木造は柔軟性や粘り強さがあり、手入れによっては長年の使用が可能です。RC造は形状の自由度が高く、耐火・遮音性に優れています。SRC造も耐火・遮音性は高く、高い耐震性能があります。
費用面では、リノベーションの坪単価は「木造<RC造・SRC造」となるのが通常です。しかし一番単価が安いはずの木造でも、構造の基礎となる木材の状態によって入念な補強が必要になる場合もあります。その場合、費用はRCやSRCよりも高くなることもあり、一概に違いをあげることはできません。
リノベ―ションの内容や使用する素材へのこだわり等によっても大きな差がでますから、信頼の置ける業者に見積もりなどの相談をすることが大切です。