そもそも「リノベーション」と「リフォーム」はどう違うのか
中古住宅にはリフォームという言葉がつきものですが、最近ではリノベーションという言葉も多く使われています。これは、住宅リフォームの市場規模が増減しながら徐々に拡大しているなどを理由として、リフォームよりさらに一歩踏み込んだ改修にニーズが集まったことが原因といえるかもしれません。そこで、リフォームとリノベーションの違いや、近年のリノベーションの特徴などについて説明いたします。
住宅リフォーム市場の推移
経済産業省が公表している「住宅・リフォーム業界を巡る現状と社会環境の変化」では、新規住宅着工戸数は長期的にみると減少傾向にあり、それと同時に住宅リフォームの市場規模は増加傾向にあることがわかります。
また、国土交通省が公表している2016年度「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」では、住宅に係るリフォーム…リニューアル工事は5 兆 5,819 億円にのぼり、2015年度比37.6%増となっています。
さらに、国土交通省が公表している「既存住宅流通シェアの推移」によると、新築住宅の割合は多いですが、徐々に中古住宅の割合が増加しつつあるのがわかります。
これらの統計結果から、徐々に新築物件の価値が薄れ、中古住宅もしくは中古住宅をリフォームして利用するという人が増えてきていると言えます。
そして近年では、ただリフォームするだけではなく、より大規模な工事を行って性能を高めたり、付加価値を付けたりするリノベーションが行われることも少なくありません。
リフォームとリノベーション
リフォームとリノベーションは不動産関係の話題ではよく耳にするワードですが、明確な違いなど存在するのでしょうか。三省堂の国語辞典「大辞林」によると以下のような説明がされています。
- リフォーム……作り直すこと、建物の改築。
- リノベーション……既存建物を大規模に改装し,用途変更や機能の高度化を図り,建築物に新しい価値を加えること。
また、国土交通省の文書「中古住宅・リフォームトータルプラン」などでは、中古住宅に付加価値をつけるという意味合いでリノベーションという言葉が用いられています。
これらを総合すると、リフォームは新築時の状態に近づける(元に戻す)ために行う工事のことで、リノベーションとは付加価値を加えて、新築時の状態より価値を高める(再構築する)ために行う工事ということができます。
一般的に、リフォームと比べるとリノベーションは工事の規模や費用が大きくなりがちで、投資のために利用される場合も、リフォームではなくリノベーションという言葉が多く用いられる傾向にあります。
最近のリノベーションの特徴
最近では、間取りを変更して4LDKを2LDKにする代わりに、リビングなどを広くするというようなリノベーションが増えています。また、ファミリーの場合では、子供の成長に合わせて子供部屋のスペースを確保したり、収納スペースを最大限確保したりする工夫が人気です。
また、住宅金融支援機構が刊行する季報住宅金融にある「リノベーション市場の背景と射程」によると、リノベーションマンションに住む人は「自分らしさが表れる家に住みたい」「不特定多数向けに作られた家にそのまま住みたくない」といったユニークな住宅へのこだわりが強いことがわかります。
そのため、あえて広いワンルームに変更し、生活感を感じさせないおしゃれな空間を目指す人や、一体感のあるデザインを採用して仕切りは壁ではなく室内窓などで対応するといった、こだわりが強いリノベーション事例も多数存在します。
リノベーションという選択肢
これまでは、住まいといえば新築という風潮がありましたが、統計によるとその意識も薄れてきていると考えられます。また、これまでは中古住宅をリフォームするという選択肢しかありませんでしたが、リノベーションという方法も注目されてきました。
大規模な改装が選択肢に加わったことで、新築でなくとも自分のこだわりを十分に反映させ、納得の住まいを手に入れることが可能です。これからは、ぜひリノベーションという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。