マンションのリノベーション投資の魅力とデメリットとは
リノベーション投資とは物件を購入し、その物件にリノベーションを加えることで物件価値を上げ、収益を得る投資方法です。最近では投資に興味を持った初心者や副業として投資をするサラリーマンの方が増えてきていますが、そのような人にとって中古マンションのリノベーション投資はその手軽さから、真っ先に考える投資方法といえるかもしれません。
とはいえ投資であることに変わりはありませんので、手軽といえどもマンションのリノベーション投資は少なからずリスクを伴います。
ここではマンションのリノベーション投資に失敗しないために、その魅力に触れながら、失敗・リスクを軽減するポイント、知っておきたいマンションのリノベーション投資のデメリットについて解説していきます。
1. マンションのリノベーション投資の魅力
マンションのリノベーション投資の魅力は「投資物件の安さ」「豊富な選択肢」「差別化」にあります。
「投資物件の安さ」
リノベーション投資には「老朽化」「築年数が古い」物件を選ぶことが前提です。そのため新築・築浅物件を購入するよりも物件価格が安くなります。このことは投資を考える上で重要な要素となる「初期投資費用」が抑えられることにつながります。
中古物件にリノベーションを加えることで物件価値が上がりますので、たとえ古い物件でも同一エリアの賃貸物件よりも高めに家賃設定できるため、投資効率がよくなります。
「豊富な選択肢」
中古物件は築浅のものからかなり築年数が経ったものまで物件数が豊富です。間取りタイプや立地まで、納得のいく投資条件で物件を選択できる可能性が広がります。また、築年数の経った中古のマンションは駅前の好立地に建っている物件もまだまだ多く、魅力的な物件への投資にチャレンジできる機会が増えます。
「差別化」
中古マンションは不思議なことに、設備もデザインも似たようなものが多いため、購入してそのまま投資物件として運用しても競合物件の多さから、よほどの立地条件でない限り投資効率は落ちてしまいます。
リノベーション投資は安く仕入れたマンションにオリジナルのリノベーションを加えることで高めの家賃設定も望めますし、何より他の物件との差別化が図れます。自分たちの好みや流行にあったリノベーションができるというのもマンションのリノベーション投資の魅力の1つといえるでしょう。
2. マンションのリノベーション投資をする際のチェックポイント
「安く買える」「選べる」「オリジナル性が高い」ことが魅力のマンションのリノベーション投資ですが、投資を決定する上で大切なポイントを押さえておかないと、その魅力を活かしきれず、失敗してしまうことも考えられます。そこで投資をする際に押さえておいた方がよいポイントをいくつか挙げていきます。
ポイント1. 投資期間
中古マンションのリノベーション投資は投資期間に注意が必要です。安く買って、流行りのリノベーションを加え、室内を綺麗にしたところで、建物が古いことには変わりありません。場合によっては建物の残存耐用年数がごくわずかということもあります。
一般論ですが、中古物件への投資は「短期間で収益をあげ、売却する」というのがスタンダードです。物件購入を検討する際には「あと何年投資運用できるか」「何年で売却するか」を考える必要があります。
ポイント2. 物件選定
中古マンションは市場に出ている物件数が非常に多く、選択肢が増えるのは確かですが、全ての物件が投資に向いているかというと決してそうではありません。
あくまでも投資用物件として考えるならば、その立地に「需要があるか?」「物件価値が落ちづらいか?」を念頭におく必要があります。
将来的な環境変化を予測するとともに、マンションそのものの管理状況を重視し、物件を選ぶことが大切です。また建物内設備(共用・専用部ともに)の劣化状況、建物そのものの免震性能、騒音振動基準を確認しておくことも必要です。
せっかく綺麗にリノベーションしても水道管などの目に見えない設備が劣化していると投資開始後「思わぬ出費の種」になりかねません。
ポイント3. 投資資金
中古マンションは同じ立地条件でも新築よりも安く買えることが魅力です。せっかく物件を安く購入したのにリノベーションにこだわり過ぎてしまうと初期投資費用が増してしまいます。これは投資においては利回りを悪くする要因です。
確かにリノベーションに資金を投入すれば空室リスクは下がりますが、だからと言って家賃も高額に設定できるわけではないので、収支のバランスを考えた費用計算をすることが大切です。
また中古物件は安い反面、資産価値が低く見られるため、思うような融資が受けられないこともあります。ローンを組むにしても住宅ローン規定にはまらない物件(特にワンルームなどの小規模マンション)は金利の高い事業投資用ローンを組む必要があります。できれば自己資金の中でやりくりできる投資物件を選ぶことが賢明でしょう。
3. マンションのリノベーション投資のデメリット
最後にマンションのリノベーション投資のデメリットについてお話しします。これはマンション特有のデメリットといえます。
中古マンションはリノベーションを加えることにより新築同様の室内に変えることができます。ただし「室内」だけなのです。建物のそのものが持つ性能や構造は変えることができません。この点はデメリットでしょう。
「性能上の問題」
マンションは耐震性能や騒音振動基準に問題があるケースが多く見られます。戸建や一棟投資マンションなどは問題があればオーナーの手で改善する余地がありますが、マンション1戸を投資運用する場合は、建物全体の問題を一人の所有者によって改善することはまず無理です。特に1981年6月以前に建てられた物件は現行建築基準法の耐震基準を満たしていない場合がありますので、性能上の問題が発生する可能性も否定できません。
「構造上の問題」
古いマンションだと天井が低かったり、梁が出ていたりとリノベーションに苦労する点が多数あります。物件によっては天井を高くしたり、梁を小さくしたりすることもできますが、必然的に余分なコストがかかってしまいます。
また投資するマンションは「区分所有マンション」ですので、専有部のリノベーションは可能ですが、共用部や外壁等のリノベーションはできません。いくら室内を綺麗にしても建物の見栄えがよくなければ「空室のたびに入居者が決まらない」という悪循環を生むだけでなく、投資効率が下がることにもなりかねません。
また、マンション全体に設置された配管もリノベーションすることはできません。配管からの漏水、汚水、悪臭は築年数が古い物件にはつきものです。経年劣化による建物の破損等により思わぬ出費が発生する可能性も覚悟しなければなりません。
「外部要因の問題」
中古マンションの場合、管理組合が「ない」「機能していない」ということもあります。管理組合がない、機能していないと建物自体は老朽化の一途を辿ります。
その場合は当然投資物件としての価値が下がります。
また投資物件を購入する際に前の所有者・入居者情報を細かく収集することはできませんので、前住民のマンション内での立場、周辺との関係によって思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
このような外部要因によって、せっかくリノベーション投資したマンションの投資効率が下がることもありえます。
4. まとめ
中古マンションのリノベーション投資には投資の初心者やサラリーマンにとって非常に魅力的に感じるかもしれません。しかし、その魅力の裏にはデメリットも存在します。
不動産投資は物件価格はもちろんのこと、立地、環境、需要、メリット、デメリットを総合的に分析する「目利き」が必要です。
今回説明したことはマンションのリノベーション投資のごく一部分でしかありませんが、投資をする目的と目標をしっかりと定め、総合的な「目利き」で投資を考えていくことが失敗しない投資につながっていくのではないでしょうか。