不動産投資に失敗しないために理解しておきたい競売物件のリスク
不動産投資で失敗しないためには、毎月の収支計算が大切です。金融機関からのローンを頼りに物件を購入するため、家賃収入があっても、大半がローンの支払いで消えていきます。さらには修繕費の積み立てなど、想像以上に支出が多くなり、手元に残るお金が少なくなってしまいます。
いわゆる相場より安い掘り出し物である物件は、一般流通には出回らず、掘り出し物と言える内容があれば、立地が優れていて、空室リスクが少ない不動産です。
相場より安い物件を手に入れることができれば、毎月の支払いも楽になり手元に多くのお金が残ります。そのような物件と出会うために、競売物件を狙う人もいます。しかし、競売物件はリスクが高いとも言われており、不動産投資初心者が手を出すには荷が重くもあります。
本記事では、不動産投資において、競売物件のリスクや失敗しない方法など考察していきます。
競売物件とは?
競売物件とは、裁判所で行われている不動産のオークションのことで、入札期間内に一番高値をつけた人が落札をします。一般的にオークションサイトや海外の競売会社などは「きょうばい」と呼びますが、裁判所が行うため法律用語の「けいばい」として読むことが多いです。
競売として出される不動産は、建物やマンション、アパートだけでなく、畑や山など様々です。所有権だけでなく使用権が競売にかけられるケースもあります。
競売物件は「BIT 不動産競売物件情報サイト」にて確認することがで、誰にでも入札は可能です。
競売にかけられている理由は、不動産オーナーの支払い能力がなくなり、差し押さえられてしまったことや相続や離婚調停中など表立っては流通させられない物件などです。
競売にかけられている物件の事情はさておき、共通していえるのは、早急に現金に変える必要があるため、期限が設けられています。入札期間内に落札者が確実に現れるように、相場より3割程度安くなることが一般的です。
値段のことだけを考えるならば、お買い得物件の様に感じますが、競売物件には数多くのリスクが伴い、失敗するケースも多いです。まずは、競売物件のリスクについて知っておきましょう。
競売物件にはどのようなリスクがある?
競売物件にはどのようなリスクがあるのでしょうか。事前にリスクを知っておけば、自分自身の許容リスク範囲もわかるでしょう。
競売物件の入札は一般流通物件とルールが違う
競売物件は、一般流通の不動産物件とはルールが違います。瑕疵担保責任がありません。
通常の不動産取引においては、宅地建物取引業法によって守られています。不動産投資家は、消費者として位置づけられるため、取得した物件に瑕疵(外部から簡単に発見できない欠陥)があった場合、契約解除や損害賠償請求をすることができます。
競売物件で取得した物件に、人が住むために修繕しないといけないポイントが後から見つかったとしても、競売物件落札者の責任になります。
競売物件は、情報量が少なく、プロでもわからない内容もあります。現地調査を行ったとしても、入居中であることから、細かいところを見ることができません。
一般的な不動産取引では明らかな損失だったとしても、自己責任になります。
投資用不動産として売りに出されているわけではない
競売物件のすべてが、投資用に作られた不動産ではありません。一軒家や社屋、倉庫など、多岐にわたっています。そのため取得しても、利用したいと考える人が現れるかはわかりません。
一般的に売りに出されている不動産は、投資用不動産として設計されています。そのため、ターゲットが明確にされており、入居者が入りやすくもなっています。
もちろん投資用不動産が競売物件として出されることもあります。うまく巡り合わせた時に、勝負をかける必要がありますね。
数少ない情報から判断する必要がある
競売物件は、「現況調査報告書」、「評価書」、「物件明細書」の3点セットで判断する必要があります。もちろん、所在地も公開されていますので、現地まで足を運び確認することはできます。
しかし、建物内を確認することはできません。周辺情報はわかったとしても、建物内がわからないため、落札後に資料に掲載されていない細かなトラブルが見つかる可能性もあります。
居住者との立ち退きトラブル
競売物件を落札しても、入居者がいる可能性があるため、立ち退きトラブルが発生します。【居住者=債務者】である場合と【居住者=債務者でない】場合が考えられます。
入居者が債務者のケースでトラブルになるのは、所有権を失っているにもかかわらず、居住し続けることです。居住の権利はなくなっているものの、他に住む場所がないということで頑なに退去を拒否され、時には裁判所を通じて引渡命令や強制執行手続きを行う場合も出てきます。
賃貸アパートやマンションなど、居住者が債務者でないケースでは、さらに時間がかかる可能性もあります。事前に伝えられていて、立ち退きに同意をしていた場合はともかく、まったく聞かされていなかった場合、トラブルが発生します。賃借人に対して、不利益にならないように6ヶ月間の建物明渡猶予制度があります。もちろん、その間家賃収入は発生し続けます。さらに、6ヶ月の猶予期間を超えて住み続けたい場合、もとの契約がそのまま引き継がれる制度もあります。
ただし落札者にも不利益を被ることがあります。居住者が出ていくことになった場合、敷金の返還は、買受人が行うことになります。
多額の修繕費や不用品の処分
競売物件を落札した場合、修繕費やリフォーム費用が追加でかかります。さらには、物品がそのままにされていることもあるため、不用品の処分費用などもかさんできます。
競売物件を安く落札したのは良いものの、3点セットでは確認できなかった損傷があまりにも大きく、数千万円単位でのリフォーム費用がかかったというケースもあります。
現地調査を行い、外部から物件の損傷具合や状態を見ていくことで、慎重になれるでしょう。
もちろん競売物件にはメリットもあります
競売物件におけるメリットはどういった内容でしょうか。それぞれ見ていきましょう。
落札金額や修繕費を考慮しても相場より安い
競売物件を入札する場合、最初に2割程度の保証金が必要になります。落札後残りを支払うことになります。競売物件は、入札期間内に確実に競り落とされるように、相場よりかなり安く設定されています。様々なデメリットもあるため、相場の3割程度と言われています。
リフォーム費用を加味しても、それが大掛かりなものでない限り、相場より安くなるケースの方が多いです。
早いもの勝ちではない。期間内にじっくり考えられる
通常の不動産投資であれば、早いもの勝ちですが、競売物件の場合入札期間が定まっているためじっくり考えることができます。
通常の不動産取引の場合、不動産投資を専門に行っている人であれば、スピード重視で行動できます。しかし、会社員や不動産以外を本業としている場合は、どうしても本業の仕事が最優先であるため、先に買われてしまう可能性もあります。
競売物件は誰に対しても公平であるため、計画を立てやすいというメリットもあります。
市街化調整区域の別件や変形地など特殊な物件がみつかる
裁判所の不動産競売だからこそ、出回る物件もあります。例えば、いびつな形の土地や三角形など、変形地や公道に面していない土地や建物、市街化調整区域の建物など、通常の不動産投資では、絶対に出てこないような特殊な物件が見つかる可能性もあります。
農地や山など、ビジネス利用できる土地が見つかるかもしれないのも競売物件のメリットと言えます。
まとめ
競売物件を中心に不動産投資を行う場合、事前に知っておきたいメリットやデメリットを紹介しました。
通常の相場より安く購入することができるのは競売物件のメリットです。しかし、瑕疵担保責任がないため、すべて自己責任で行う必要があります。
そのため、安く手に入れたとしてもリフォーム費用が多額になってしまった。居住者の立ち退きトラブルで実際の運用にこぎつけたのは数ヶ月先など、競売物件特有のデメリットはあります。
しかしメリットもあります。一般的な相場より3割程度安いことや入札期間が設けられているため、誰にでも平等に入札に参加することができます。また、競売だからこそ見つけられる物件もあります。
競売物件で失敗しないためにも、必要な知識を身につけてください。競売だからこそ、利回りが15%を超えるようなとんでもない掘り出し物が見つかるかもしれません。