不動産投資をする前に知っておきたい将来価値。どのような物件がよいか
投資とは将来的な利益を求めるために「ヒト・モノ・アイデア」に資金を投入することをいいます。不動産投資とはまさしく不動産に投資する行為です。投資というからには将来的な利益を求めなければその行為自体に何の意味も持ちません。
以前は、投資はいわゆる富裕層がするビジネスという印象がありますが、最近では老若男女問わず様々な方が行なっているという印象を受けます。
しかしながら投資は投資家の「感覚的で直感的な判断を必要とし、高いリスクを伴うビジネス」というようなイメージをお持ちの方も多いはずです。このイメージは投資に関する知識不足からくる不安でしかありません。
投資をする前に投資に関するある程度の知識を知っておくことはその「不安」を解消するとともに投資による利益も生まれやすくなります。
ここでは不動産投資をする前に知っておきたいこと、投資する不動産の「将来価値」について説明していきます。
1. 利回りと将来価値どちらを優先するべき?
不動産投資用物件資料に必ず記載されている「利回り」。この利回りを参考に投資を検討する人が多いのも事実です。
さてこの利回り。そもそも投資した金額に対して年間利益がどのぐらいあるかを数値化したものになります。利回りには「実質利回り」と「表面利回り」がありますが、不動産投資においては物件にかかる経費(管理費・修繕積立金・管理代行手数料など)まで考慮した「実質利回り」が用いられるのが一般的で、この実質利回りを判断材料とすべきとされています。実質利回りは、
実質利回り(%)=(年間家賃収入額−経費)/不動産購入金額×100
の計算式で導き出されます。例えば購入金額が2,400万円、年間家賃収入が160万円、経費が40万円の場合は実質利回りが5%ということになります。
この実質利回りを参考に投資するかしないかを判断して行くのですが、これは「一つの判断材料」であって決してこれだけで判断してはいけません。
不動産投資においてもう一つ考えなければならないのはその不動産の「将来価値」です。
実質利回り10%の物件と5%の物件があった場合、おそらく多くの方が10%の物件をまず第一に検討して行くわけですが、この実質利回りは「現在価値」または「推測価値」でしかありません。
現時点で収益性が高くても将来的には・・・?実際にこの利回りは周辺状況を加味しているのか・・・?と疑問を感じることが大切です。
不動産物件は居住者の減少や物件の老朽化により、緩やかですが必ず収益性が下がります。不動産会社が計算している利回りも現時点の収益もしくは想定収益である事を踏まえると、もし空室が続いたり、大規模修繕が必要となれば、物件資料に掲載されている利回りは下落して行くことが容易に想定できます。
利回りは不動産投資をする際に必要な判断材料であることは間違いありませんが、必ず周辺の家賃相場、空室率の提示を求めた上で現場に近い数値まで自分で推測して行く必要があるでしょう。
その点では「将来価値」を重視した不動産投資物件の選定を行うことがリスクの少ない投資につながると言えるかもしれません。将来価値は購入した物件の価値が将来的に「維持できるのか」「下がりにくいのか」の観点で判断した要素です。実はこの要素を重視した投資を考えて行くことが、不動産投資の不安とリスクを最小限に抑えることにもつながっていくのです。
2. 将来価値の高い物件とはどのようなもの?
不動産投資を考える場合に「利回り」よりも「将来価値」を判断材料にすることをおすすめしましたが、では将来価値が高い物件とはどういう物件なのでしょう?
ズバリ、将来価値が高い低いを決める最大の要素は「立地」なのです。
とかく不動産価値が高い物件は「新築・築浅」を中心に投資用物件を選定していくと良い、と思われがちですが、たとえ築20年の物件であっても立地が良ければその価値は保てますし、売却時に高値で商談のテーブルにつくこともできます。
そうなると物件の将来価値が高いかどうかの基準要素が気になるところです。その基準は具体的には以下の項目になります。
- 交通の利便性
物件からの交通網が発達しているか、また開発予定があるかなどが関係してきます。「最寄駅から複数の路線が利用できる」「快速・急行電車本数が多い」「都心へのアクセスが容易」など公共交通機関の利便性がポイントとなります。また駅からの距離も将来価値が高くなる要素です。 - 生活の利便性
「日常生活をする上で必要となる施設が充実しているか」がポイントです。近くに大型スーパーや商店街などがあることで生活用品の購入には困りません。また学校などの文教施設や病院などの医療施設、銀行・郵便局などの金融機関、役所等の行政機関が近くにあるかないかで生活の利便性が高い物件かどうかが判断されます。 - 住環境の充実
住む方の生活を豊かにするような環境が周辺にあるかがポイントとなります。様々な飲食店や公園・街路樹など緑の多いエリアが近くにあることによって多くの方は住環境の充実を得られます。また「日当たり」「騒音・臭気の有無」「眺望(前をさえぎる建物がないか)」など物件自体の住環境も大切です。 - 安全性の充実
立地が災害リスクの少ないところであるかも価値判断要素です。近くに避難所があったり、高台にあったりというのも重要です。将来的な地震・水害リスクは行政発信のハザードマップで確認できますので、購入前には確認をしておくと良いでしょう。
その他、再開発地域や大型集客施設がある地域、開発余地の少ない地域は将来価値が高い傾向にあります。
このように将来価値が高い物件は「不特定多数の方々がその立地に利便性と生活の充実感安全性を感じられる」物件ということになるでしょう。
3. 出口を意識して投資しよう
不動産投資には立てておかなければならない戦略があります。購入時を「入口」とするならば売却するときのことを考えた「出口」の戦略です。
不動産投資にリスクはつきものです。物件を所有している限り、このリスクは存在します。リスクを回避するために売却をするという選択肢も準備しておく必要があります。
リスクには物件の老朽化による経費の増加、周辺環境の変化からくる家賃の下落、税負担の増加、人口減少により空室率の増加など様々考えられます。
そうなることを想定してしっかりとした出口戦略を立てる必要があるのですが、そのタイミングを見定めることも大切な作業です。
そのタイミングは「キャッシュフローがマイナスになった時点」であり「利益が最大化する時点」ともいわれます。投資収益が上がっているうちは保有し続けるという考え方もありますが、不動産には「高く売れるタイミング」があります。変動率の高い投資案件ですので「値の高いうちに売ろう」と考えるのも一つのテクニックです。
そのために購入時から利回りと将来価値を見定め、物件周辺の変化、国内情勢(人口減少、税制改正など)から売却の判断をすることも大切です。
投資の収支がプラスに転じる、あるいは利益が最大となる時期を購入時(入口)から予測し、そのタイミングで売却する。あるいは経費や税金増加によりキャッシュフローがマイナスになるタイミングで売却する。この「出口のタイミングを意識して投資をする」という意識を持って投資をしていかなければなりません。
不動産投資は「将来的な利益を求め不動産に投資する行為」です。当然収益性を考えてどの時点で物件を売却するかまで考えておく必要があるということです。
4. まとめ
今回は「不動産投資をする前に知っておきたい将来価値」というテーマで解説をしてきました。不動産投資をする上で大切なのは購入時(入口)に売却(出口)を考えたしっかりとした戦略を立てられるかという点です。投資物件の状態を利回りや将来価値という要素から判断し、時系列で投資を考える。時系列で投資を考えると、事を起こすタイミングがわかってくるものです。このタイミングを見定める、これが成功のための足がかりとなるでしょう。
不動産投資をする際には投資家としての自身の判断とともに専門家の意見を柔軟に聞き入れることも大切です。そして表記利回りの信憑性と将来価値が高い物件かどうかを客観的に調査・分析することも忘れないようにしましょう。