今の住宅事情のまま、子どもの成長に合わせて子ども部屋をつくるには?
皆さんは子どもの時に、自分の部屋がいつ頃からあったのか覚えていますか?
お気に入りのおもちゃで遊んだり、友達を招いて誕生日パーティーを開いたり、はたまたつらい受験勉強をした日々、子ども部屋にはその時々のたくさんの思い出がつまっていますよね。
そんな皆さんも親の立場になりました。子どもの進学タイミングやママ友・パパ友との会話から、「そろそろ、自分の部屋を与えてあげたほうが良いかなあ」「今はまだ早いかもしれないけれど、いずれ必要になるし」「自分の部屋を早く与えすぎて部屋にこもりきりになるのも心配」などいろいろな考えが頭の中を巡っている方もいるかもしれません。どのタイミングで、どんな環境を用意してあげるのが我が子にとって最適か、不安をかかえたり悩まれている方は多いでしょう。
ただ、自分が考えるしかないとはわかっていても、どうやって考えていけば良いかわからないですよね。
ここでは、そんな皆さんの「いつのタイミングが最適なの?」「部屋を手軽につくる方法ってないの?」「広さやレイアウトはどうすれば?」「子ども向けの家具選びのポイントは?」などの疑問に対して、すでにお家を持たれている方でも取り組める方法を、いくつか具体的な事例を交えて紹介していきます。
いつ、どうやって子ども部屋をつくったらいいの?
子ども部屋をつくるタイミングですが、大きく二つの目安となる節目があります。
一つ目は、『小学校入学時』です。ある調査では小学1、2年生の約8割が子ども部屋を持っている、という結果があります。
親として最初に考えるのは、「一人で眠れるようになって欲しい」「一人で着替えられるようになってほしい」という思いではないでしょうか。その節目として小学校入学を考えている方も多いはずです。一人でできることが増えていけば、自然と子どもの自立心を促すことに繋がっていきます。勉強に関しても自分の部屋があれば、低学年時はリビングで勉強をする時間が多くても、成長に従い少しずつ自分の部屋で勉強する時間が増えていくでしょう。
二つ目は、『小学校高学年~中学校入学時』です。この頃から子どもは思春期を迎え、家庭によっては中学受験を控える子どももいるでしょう。今まではリビングで家族と一緒に過ごしていた時間が、だんだん自分の部屋で過ごす時間に置き換わるという変化がみられます。思春期以降は、自分の部屋が友達とのつきあいや勉強、趣味などの活動をするプライベートな「自分の」空間になっていきます。親としては、少し寂しい気持ちもしますが、この変化こそが成長の証です。おおらかな気持ちで見守ってあげましょう。
また少し目線が変わりますが、住宅事情の変わるタイミング、例えば「リノベーションの時に考えたい」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、子どもの成長を見越して事前に準備することになります。
いずれのタイミングで子ども部屋をつくるとしても、このタイミングでつくるべきという決まりはありません。そう考えると、子どもが自分の部屋を欲しがらないうちは、焦って子ども部屋を用意しなくても良いかもしれません。リビングで勉強できるスペースや環境を用意しつつ、子ども部屋をつくる時期はお子さんの成長と相談しながら決めても良いでしょう。
次に、子ども部屋をどうやってつくるかですが、これから新たにお家を建てられる計画のある方は子供部屋を設計に組み込めば良いでしょう。
しかし、子ども部屋をつくることを考えているということは、すでに住んでいるお家がある方が圧倒的に多いかと思います。
増改築すれば簡単に部屋を増やせますが、土地や費用、工事中の一時引っ越しなどの問題もあるのでそう簡単にはできませんよね。
また、部屋数は限られていますので、別の用途で使っている部屋をそのまま子ども部屋に置き変えることが多いと思います。でも、そうなると今まで使っていた用途の部屋はなくなってしまいます。
そんな場合には、リノベーションによる間仕切りや家具配置の工夫で、プライベートな空間として子ども部屋をつくることがおすすめです。そうすれば、部屋数を増やして子ども部屋をつくることができます。また兄弟姉妹がいて一部屋しか用意できない場合でも、リノベーションによる間仕切りで二部屋にすることができます。また子どもの成長に従って、男女でのプライバシーの確保や、年の差があって生活リズムが異なる点なども、リノベーションの時に考えたいポイントですね。
子供部屋にはどのくらいの広さが必要?
子供部屋にどのくらい広さが必要かを考える前に、リノベーションの時に考えたいのは子ども部屋には何が必要か、です。
- ベッド
- 学習机
- クローゼット
- 窓、ドア
①~④を配置することを考えて、必要な広さを考えていきましょう。
2-1.ちょっと窮屈な4.5畳
ベッドと学習机を置くと部屋がいっぱいになるくらいのイメージです。
友達を呼ぶとなると少し狭く感じると思いますが、普段はリビングで過ごして、勉強と寝る時だけ部屋を使う程度であれば許容できる広さと言えるでしょう。
2-2.ちょうど良いゆとりの6畳
6畳の広さが確保できれば、ベッドと学習机を置いてもある程度のゆとりがあります。友達を呼んでもスペースに余裕がありますし、引き出すタイプのクローゼットの開閉も問題ありません。一人で使う部屋としては十分な広さでしょう。
2-3.ゆったりレイアウト自由な8畳
大人の寝室も8畳ほどの広さがあれば十分ですので、さまざまなレイアウトにチャレンジできます。また、兄弟姉妹で子ども部屋を一緒に使っても問題のない広さとなります。
子供部屋はずっと居続けるわけではなく、「勉強する時」「寝る時」「一人になりたい時」に使う部屋なので、リビングほどの高い快適性を追及する必要はありません。仮に4.5畳もしくはそれより狭くても、家具のレイアウトなど工夫次第で十分な子供部屋がつくれます。例えば、ベッドは諦めて敷き布団にすることでベッドのスペースを空ける、クローゼットは諦めて親と兼用にする、などがあるでしょう。
一部屋を二つに仕切る方法事例
子ども部屋をつくるリノベーションの時に考えたいのが、どうやって一部屋を二つに仕切るか、です。
子どもが二人いれば子ども部屋一部屋を二つに仕切りたいでしょうし、将来子どもが大きくなって独立したときのことを考えれば、その部屋を一部屋に戻して大きく使いたいでしょう。
間仕切りで仕切った部屋を元に戻したりできるか、という観点も踏まえて部屋を仕切る方法・事例を6つ紹介します。
3-1.可動式の壁や間仕切りを設置
好きな時に自由に部屋を分けられたり、元に戻したりすることができます。そのため子どもが大きくなって独立した後に、すぐ元の広い部屋に戻すことができます。可動式なので天井と床の部分から音や光が若干漏れることも考えられますが、一部屋としても二部屋としてでも使える柔軟性があります。
3-2.移動可能な収納で間仕切り
設置すると壁兼クローゼットとして機能してくれる優れものです。
子どもの独立後、必要なくなればこの収納を壁に移動したり撤去したりすることで、また部屋を広く使うことができます。
3-3.アコーディオンカーテン
安価かつDIYで取り付けることもできるので、非常に手軽です。また、様々な色やデザインのものが揃っており、部屋に適したものを選ぶことができます。可動式のため、子どもの独立後すぐに元の広い部屋に戻すことができます。天井と床に隙間があるのでエアコンが1台で済みますが、電話で話している声は筒抜けで防音性や遮光性はほとんどないため、プライバシーの面で若干心配です。
3-4.固定できる突っ張りパーテーション
突っ張り棒の要領で、天井への突っ張りによって固定するパーテーションです。工事不要で、DIYで取り付けが可能です。部分的に仕切ることもできます。ただし全体を仕切ると出入り出来なくなるので、ドアが2つ必要となりますし、音や光も筒抜けになります。
3-5.部分パーテーションとカーテン・ロールスクリーンの組み合わせ
3-4の応用で、突っ張りパーテーションを一部分だけにして、パーテーションの代わりに残りの部分にはカーテンもしくはロールスクリーンをつけます。そうすれば、カーテン・ロールスクリーンから出入りするということが可能になります。
3-6.収納や本棚を造作
収納または本棚などを、子ども部屋のレイアウトに合わせてサイズなど自由に造作して間仕切りとします。地震などで倒れてしまうのではと心配になる方も、しっかり固定した状態で造作ができるので安心です。壁をディスプレイとして見せることができ、おしゃれな空間を演出できますが、収納や本棚の設置費用がかかります。
3-7.壁を造作
もっとも防音性や遮光性が高く、プライバシーをしっかりと確保できます。さらに、壁の中に断熱材を入れることで、より遮音性や防音性を高めることもできます。ただし、子どもが大きくなり独立して子ども部屋を使わなくなってしまった場合、簡単に一つの部屋に戻すことが出来ません。壁を撤去するための費用も別途かかることになります。
子供部屋の家具で注意したいポイント
まず注意したいポイントは、家具選びです。
気づけばあっという間に小学生にと、子供の成長は本当に早いですよね。心もそうですが、体もどんどん大きくなっていきます。成長に合わせて買い替えるのか、それとも最初から長期的に使える大人サイズにしておくのか。もちろん費用面も踏まえたうえで、よく考える必要があります。また、趣味・嗜好も、小さいころとはガラっと変わっていくことでしょう。
全ての家具を買い替え続けるのは、費用面で厳しいですよね。そこで、買い替えが必要な家具と買い替えが必要ない家具を、分けて考えるのはどうでしょう。例えば、学習机やベッドはシンプルなもので買い替えずに、椅子やキャビネットは成長に合わせて変えていけば、ある程度負担は減るでしょう。
また子ども部屋の家具は、毎日子どもが手で触れるものなので、素材についても気にかかると思います。近年は規制などが進んで、昔に比べると有害な物質を含んだ家具は少なくなったと言われていますが、安価な集成材の家具や組み立てる家具などにはまだまだ注意が必要です。
なるべく製造者・製造方法・素材が明示された家具や、無垢材の家具がおすすめです。アレルギーやシックハウス症候群対策になりますし、なにより長く使えるというメリットがあります。
また、「F☆☆☆☆(Fフォースター)」という制度も知っておくとよいかもしれません。シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドの基準値をクリアした製品で、より安心です。
子どもはまだ学習机は使ったこともありませんし、家具を使った経験も少ないので、見た目以外の判断基準がありません。また、見た目だけでは飽きるという感覚も乏しいです。そのため、「大人の目線で選んであげる」ことが重要です。成長に合わせて子どもの希望も尊重しながら、買い替えなどを検討してきましょう。
また、家具の配置もリノベーションの時に考えたいポイントの一つです。リノベーションしたあとで、家具が置けないという最悪の事態を迎えても簡単に部屋を元に戻すことはできません。
事前にある程度、部屋のサイズと置きたい家具から家具のサイズ・配置を考えたうえでリノベーションの作業に進みましょう。
ふたり分の家具を6畳に収める工夫
兄弟姉妹がいれば、二人で一部屋をシェアすることもあるでしょう。すると二人分の家具を一部屋に収めなければいけません。そこで、一般的な広さの6畳に収めるための工夫をいくつか紹介します。
子ども部屋で最も面積を取るのは、ベッドと学習机です。この配置によって部屋に収まるかどうかが決まってきます。
まずベッドですが、おすすめは二段ベッドです。ベッドを並べておくよりも二段ベッドなら、一つのベッドスペースで二人寝ることができるので省スペースです。子どもは二段ベッドが好きです。私も小学生の時、秘密基地のようで二段ベッドがお気に入りで、よく弟と上の段のベッドの取り合いをしていました。
今では二段ベッドにも種類が増えており、上段と下段が互い違いに板で仕切られているものもあるようです。これなら、部屋の真ん中に置いて間仕切りの代わりとして使うこともできますね。
また、空間を広く見せたい時におすすめなのが、ホテルの補助ベッドのように、ベッド下にもう一つベッドを収納できるベッドです。ベッドを収納すればスペースはベッド一つ分だけですので、昼間はベッドを収納して部屋を広く使うことができます。
次に学習机ですが、ツインデスクや二人用学習机はいかがでしょう。二つ机を並べるとスペースを取ってしまいますが、横長の机を一つ置いてそれを兄弟姉妹でシェアするのです。距離も近いので、横に並んで勉強すれば仲良く宿題もはかどるかもしれません。もし、隣り合わせであることが学習に悪影響を与えるのでは?と逆に心配であれば、机の間に収納棚などを設置して間仕切りのようにしてあげても良いでしょう。
もし、どうしても子ども部屋の広さを6畳まで確保できず、部屋に家具が収まらない場合は、学習机を置かないということも選択肢の一つです。
子ども部屋を「勉強する」場所ではなく、「一人になれる」「寝る」「荷物を置く」場所、と考えれば学習机を絶対に置いたほうが良いわけでもありません。
子どものライフスタイルを崩さないよう、無理のない範囲で進めてあげましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
皆さんのお部屋がどんな子ども部屋になるかはわかりませんが、子ども部屋はお子さんの成長に大きく関係する大切な要素の一つです。
子ども部屋を見た時の子どものはじけた笑顔を想像しながら、親自身もウキウキしながら考えていきましょう!