今後、注目を集める可能性もある古民家リノベーションとは
近年注目を集めているリノベーションの方法に、中古物件を古民家として再生するというものがあります。あまり需要が無さそうに感じるかもしれませんが、実は日本を訪れる外国人旅行者の中には、日本の田舎での体験に価値をみいだす人が少なくありません。
特に、Airbnbを活用することで、効率よく外国人旅行者の関心を集めることが可能となります。日本の民泊事情や、外国人向けのリノベーションについて紹介いたします。
増加する外国人旅行者
近年では、旅行で日本に訪れる外国人の数が増加してきています。国土交通省の発表では、2016年に日本を訪れた外国人旅行者数は推計で前年比22%増して2,403万9,000人となり、5年連続で前年を上回る結果となりました。
訪日外国人が増加する一方で、外国人旅行者が感じる日本への不満として宿泊施設や滞在費用があげられます。日本政府観光局が発表した「訪日外国人個人旅行者が日本旅行中に感じた不便・不満調査」によると、安い宿泊施設が少なく、滞在費が高くなってしまうことに不満を感じている旅行者が少なくありません。
そのような背景もあり、訪日外国人の中には民泊を利用するケースが増加しています。観光庁が発表した2016年度の外国人宿泊者数は2015年比8%増の7,088万人と過去最高を記録しましたが、訪日外国人が2015年比22%増だったことを考慮すると、民泊の利用で統計に反映されなかった外国人旅行者が多数いることが考えられます。
Airbnb需要の高まり
民泊の需要はどんどん高まり、トラブルの回避や民泊と旅館業法との摩擦などを解消するための法整備も着実に進んできています。
2017年6月1日には、住宅に旅行者を有償で泊めることを許可する「住宅宿泊事業法案」が衆院本会議で可決されました。これにより、住宅の所有者は各都道府県へ届け出を行い、仲介業者は観光庁へ登録することで、全国どこでも民泊の許可を取ることができます。早ければ2018年1月にも施行される予定となっています。
また、今では民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)が注目を浴びています。部屋を借りたい人はAirbnbで検索することで、登録してある住宅を有償で利用することができ、2016年の日本国内での経済効果は9,200億円に上り、前年と比較して約8割増加したことがわかっています。
訪日外国人はAirbnbを活用することにより、安い宿泊費用の実現や、ホテルにはないリアルな日本文化の体験、住宅所有者とのコミュニケーションや文化交流を図ることができ、Airbnbは非常に重宝されているといえるでしょう。
日本文化をアピールするリノベーション
農業体験や農家民宿が外国人観光客の人気を集めており、日本の「田舎」での体験や、日本独特の文化に触れることに価値を感じている人が少なくありません。
そこで、日本文化を体験したい外国人向けに空き家などをうまくリノベーションし、伝統的な日本家屋として再生するようなリノベーションが効果を発揮する可能性があります。
たとえば、長野県にある築80年の空き家では、古い建物の味を活かして建物自体にはあまり手を加えず、雰囲気を重視したリノベーションを行ったところ、約1ヵ月で民泊としてオープンすることができました。
日本文化をモチーフとしたリノベーションでは、建物の古さがアピールポイントとして機能する可能性があるため、一般的な不動産投資とは違ったアプローチを行うことが可能となります。
現在の日本では空き家の割合が13.5%と非常に多いことから安く取得しやすいことや、空き家の取得や移転、増改築にあたって国から助成費用が支給される可能性があること、空き家は地方に多く分布していることもあり、自然を活かしたリノベーションが可能という点で、外国人向けのリノベーションに適しているといえるでしょう。
外国人向けのリノベーションが狙い目
物件の価値を高めるリノベーションにはさまざまな方向性がありますが、外国人向けの場合は独特なアプローチが必要となり、うまく計画するとコストを抑えて人気の物件を作り上げることが可能となります。
ただし、最近ではAirbnbを利用した民泊物件の運用に、個人だけでなく企業が参入してきています。Airbnbを利用したリノベーション物件の運用を行う場合、なるべく早く実行することで競争を減らすことができるといえるでしょう。