投資信託とリノベーション投資の違いは?リスクが少ないのはどっち?
ひと昔前までは、投資というと「ギャンブル」的な印象を持たれていましたが、最近は「手軽に始められる資産運用法」と捉えられてきています。そのためか、サラリーマンや公務員の方でも投資に興味を持って、実際に始めている人も多くなっています。
中でも人気がある投資方法は「投資信託」と「リノベーション投資」です。
今回はこれから投資を始める人にもわかりやすく、「投資信託」「リノベーション投資」の仕組みについて解説します。
1. 投資信託の仕組みは?もうかりにくいって本当?
投資信託とは「複数の投資家から資金を集め、その資金を一つの塊(ファンド)にし、投資額に応じて運用益を得る」投資方法です。
投資先は株式、債券、不動産、商品(コモディティ)などさまざまですが、株式や債券を投資先とした投資信託が一般的です。
投資信託の仕組みは、「まず投資家が投資目的にあった商品を選び、その商品を販売している証券会社や銀行に申込金を払う。申込金を受け取った販売会社は投資信託運用会社にその申込金を送金し、ファンド化された資金を投資信託運用会社が運用・管理され、そこで生まれた運用成果が投資額に応じた分配金や償還金として投資家が受け取る」というものです。
この際、資金を集め1つのファンドにすることから、投資家1人1人がその運用と管理にかかわることはなく、運用のプロであるファンドマネージャーに全て委託することになります。当然、その運用方針は投資信託ごとに設けられ、投資家はその運用方針と投資目的によって投資信託を選択していきます。
投資信託は少額から始められ、分散投資によって投資リスクを軽減させるこのとできる「身近な投資」として浸透しつつあります。身近な投資信託の一つに「個人型確定拠出年金」があります。2017年1月に制度が変わりましたので「iDeCo」といったほうが馴染みがあるかもしれません。これは「毎月決まった資金を60歳まで積み立てて続け、60歳以降に積立金を受け取れる」というものです。
この確定拠出年金においても、積み立てた資金はあらかじめ設定した方針と商品によって運用がなされているわけです。
投資初心者には始めやすい投資方法ですが、「始めてみたはいいけどもほかの投資方法と比べてもうかりにくい」と感じている人は多いようです。投資信託は投資目的ではなく節税目的として捉える方もいますので損得感情のみで判断はできませんが「出ていくお金」が結構かかるのは事実です。事実、投資信託は3つの手数料がかかります。
投資信託購入時にかかる「購入手数料」、運用を委託するための「運用手数料」、投資信託を換金する時にかかる「信託財産留保額」です。
これらのコストがかかるため「意外にもうからない」と思ってしまうようです。確かに、少額投資が可能な投資信託でこれだけの手数料が定期的にかかってしまうのであれば「もうからない」となってしまうのも納得ですが、取り扱う投資信託運用会社や取扱販売会社によって口座管理や運用管理の手数料が異なりますので、投資信託購入時にはしっかりと手数料も確認したほうがよいでしょう。
しかし、あくまでも投資が目的であるので手数料を気にして投資信託を選ぶことは少し筋違いなような気もします。手数料以上に大切なのは「商品の選定」です。間違った投資先を選んでいてはもうかるものももうかりません。また、投資信託はじっくり時間をかけて運用していくことで元本割れリスクや「もうからない」という気持ちは解消されます。
「もうからない」と考える前に長い時間をかけて、少しずつ投資し、状況に応じて商品割合を入れ替えるという戦略を持って投資していきましょう。
2. リノベーション投資の仕組みは?
投資信託と並んで人気の投資方法に「リノベーション投資」というものがあります。これは不動産投資の一つで、中古物件を購入後、大規模な修繕工事を加えることで物件価値を上げて収益を得るもので、投資金額が低額に抑えられることから、高い利回りで運用可能な投資方法とされています。
不動産投資のオーソドックスな仕組みは、「投資する物件を購入し、間取り変更や設備のリニューアルなど大規模工事をする。この工事によって生まれ変わった物件を賃貸市場に公開し、入居者を募り、入居後家賃収入を得る。通常はこの収入が全て収益になることはなく、物件購入時に金融機関から受けた融資の返済や管理費(管理委託する場合は入居者の募集費等や管理手数料を管理会社に支払う)が差し引かれた金額が投資成果になる」というものです。
リノベーション投資の場合、投資物件を購入するために資金を調達する必要がありますが、対象物件は中古物件であり、新築物件に比べ低額で購入されるため、融資を受けずとも投資ができることが特徴です。
とはいえ、新築物件に比べ物件価値が低いことから「融資が受けづらい」という考え方が正しく、自己資金の中で「運用した方がいい方法」ともいえます。リノベーション投資をする上で大切なのは「いかに初期投資費用を抑えるか」ということです。初期投資費用は「物件購入費用」と「リノベーション費用」があり、安く物件を買い、投資予算内でリノベーションをすることが求められます。
この費用が抑えられれば「利回りの高い」投資に成長していきますが、いくら安く物件を購入してもリノベーションにこだわりすぎてその費用がかかるのであれば意味がありません。またリノベーション費用を抑えて賃貸に出すとしても、物件自体は古いのですから物件価値は当然上がりません。これは入居者が決まりづらいという「空室リスク」が高くなることを意味します。初期投資費用のバランスの見極めが投資の今後を左右する、実は大変難しい投資の一つともいえるでしょう。
3. 投資信託とリノベーション投資はどんな人におすすめ?
どの投資方法で投資するにしても「投資家として必要な資質」はあります。
第一に「計画的かつ戦略的に投資を考えられる人」、次に「冷静な判断ができる人」、そして「自分で調べられる人」です。行き当たりばったりの売買衝動にかられたり、目先の利益を追い求めたり、他人の意見に左右される人は基本的には投資には向きません。
ではこの投資家としての資質を前提に、投資信託に向く人、リノベーション投資に向く人を説明します。
投資信託に向く人は「投資を長期間で考えたい」「少額で始めたい」「リスクを分散したい」と思っている人に向いています。投資信託は株式や債券を中心に運用していく投資方法ですので、株価・時価に影響を受けやすい投資です。少額で始められることから人気の投資方法ではありますが、短期間で収益を得たいと思う方は自分で運用管理が可能な株式投資の方が向いています。商品内容や運用方針を理解した上でじっくりと時間をかけて投資をしたい人にはオススメです。
また投資信託は分散投資型で運用しますので、大失敗する可能性は下がります。すでにほかの投資方法で資産運用している人にとってもその資産の一部を投資信託に回すことで資産価値を維持しやすいので、リスクを少しでも分散したいと考える方には向いています。
リノベーション投資については「投資を比較的短いスパンで考えたい」「インカムゲイン重視」「コストパフォーマンス重視」の方には向いています。投資するのは中古物件です。特にリノベーション投資はかなり築年数の経った物件が好んで投資対象とされています。つまり物件が古いので耐用年数が残り少ないと考えるのがベターです。投資を長期間で考える人よりは「残りの耐用年数期間で運用する」と考えられる人のほうがこの投資は向いています。
合わせて中古物件にリノベーションを加えたとしても、売却の際は購入金額を下回ることがほとんどです。売却の際に利益を得たい「キャピタルゲイン重視」の人よりは、家賃収入という安定した「インカムゲインを重視」する人のほうが適しているといえるでしょう。さらに初期投資費用が抑えられることが前提であれば利回りが高くなる可能性はこの投資方法にはあります。少ない予算で安定した収入というハイコストパフォーマンスを求める方にも向いているといえるでしょう。
4. まとめ
「銀行に預金しても利息が低いから…」という時代。「なんとか資産を増やしたい」という人には投資は非常に身近な「資産運用法」となりつつあります。しかし利息は低いといえども、銀行預金は元本割れをすることはありません。その点、投資は「元本割れ」があり、リスクのある運用方法といえます。
これから投資をしようと思っている方には「投資の仕組み」「投資に向いているか?」「どんな投資が向いているか?」を知ることで、投資リスクを軽減させることができます。
投資で失敗しないためにも是非一度、こんな視点から投資を考えてみてはいかがでしょうか。