戸建住宅にリノベーション投資をするメリットとは
不動産投資の1つに戸建投資があります。築年数の古い物件を低額で購入して、リフォームをした上で賃貸し、家賃収入を得るという考え方で、この戸建投資の一つの方法が「リノベーション投資」です。
リノベーション投資は「投資価値の高い物件」を低額で購入して「リノベーション」を行い、「投資収益性」を上げて運用していく方法です。
リノベーションは原状回復を目的としたリフォームとは異なり、「新たに作り直す」作業です。リノベーションによって得られるものは、物件既存の条件に「不動産そのものの価値を高める」ことといえます。
1. 戸建てをリノベーションする際のポイント
戸建をリノベーション投資するにはコストもかかりますので、その点では当然リスクを伴います。またどんな物件でもリノベーション投資で収益が出るかといったらそういうわけでもありません。戸建てをリノベーションする際に物件の選定ポイントを押さえておくことが大事です。
まずは「立地」です。立地というと「駅近」と思い浮かべる方もいるかもしれませんが、戸建の場合、駅近はあまり重要な要素ではありません。
大切なのは、
- 間口が2メートル以上あるか
- 道路の幅員が4m以上あるか
- 住宅供給過多エリアではないか
- 生活利便性はあるか
などといった基本的な立地条件です。これは戸建投資をする際の必須の知識です。
仮に建物が老朽化し再建築をしなければならない場合や、解体・更地利用で別の用途で収益を得る場合など、この条件は今後の運用に大きく作用してきます。また物件を売却する際もこの条件を満たさないものは敬遠される可能性が高くなります。
住宅供給過多エリア(アパートなどの賃貸物件含む)は空室リスクも考慮しなければならないため、家賃設定が低くなりがちです。このような点からまずは「立地」条件を確認する必要があります。
次に「地価」です。あくまでも投資ですので、投資利回りを期待できるものでなければなりません。駅近の土地に代表されるように、地価上昇が予想される地域は物件価格も上がるため、戸建投資用としては収支が合わないことが考えられます。
そして「価格」です。戸建投資の場合は「1軒分」しか家賃収入が得られません。アパートやマンションのような住宅投資物件の場合は1棟で「複数軒分の家賃収入が期待できます。そのため融資を受けて投資する方は多いのですが、戸建の場合は「1軒」です。ローンを組んで購入する場合、どうしても収益性が低くなってしまいます。戸建投資の場合は「ローンを組むのではなく現金購入できる」範囲での価格で投資を考えることがよいでしょう。
最後に「物件状況」です。リノベーション投資をする戸建は、どうしても築年数が古い物件が多くなります。外壁や水回りのチェックを行い、外壁がひび割れていたり、チョーキング状態のように劣化していたりすれば外壁塗装、修繕の必要があります。
またトイレや風呂、キッチンの状態もチェックが必要です。和式のトイレや風呂がバランス釜仕様であったりすると、入居者募集の際に客付が悪くなる可能性があります。
これらはリノベーションの際に新しくしてしまう方法もありますが、コストが上がる要素であることは間違いありません。そして忘れてはならいないのは「雨漏り」「害虫(シロアリ)」「傾斜・落ち込み」「配管老朽化」への注意です。これらに問題がある場合は、そもそも投資物件としては不向きなので必ず確認が必要です。
2. 戸建てをリノベーションする際の費用とは
リノベーション投資する戸建の条件が出揃って、いざ購入となった際に考えなければならないのはリノベーション投資にかかる実際の費用です。
戸建をリノベーションする際の費用は「利回り」で考えます。「物件価格」が定まったら、投資収益シミュレーション時に算出した「年間家賃収益」と「利回り」から「リノベーション費用」にいくらかけられるかを逆算していきます。
例えば、物件価格を500万円、年間家賃収益100万円、利回りを10%に設定した場合、
年間家賃収入÷(500万円+リノベーション費用)=10%
で考えれば良いので、この場合、計算上はリノベーションに注ぎ込める費用は500万円ということになります。
利回りから逆算することでリノベーション費用は簡単にはじき出せますので、これを踏まえた上でリノベーション費用としていくらかけられるか把握することがよいでしょう。もしこの条件下で500万円を超えるようなリノベーション費用を検討もしくは予定している場合はもう一度シミュレーションを見直したり、リノベーション内容を縮小したり、場合によっては投資用物件購入を控えることも考えなければなりません。
ちなみに利回りから逆算するといっても利回りには表面利回りと実質利回りの2つの数値があります。より投資判断を明確にしたい場合は年間家賃収入から諸経費を差し引いて考える実質利回りで考えましょう。
3. 戸建住宅をリノベーションするメリット
それでは戸建住宅をリノベーション投資することのメリットとはなんでしょうか。
不動産投資には様々あり、マンションやアパートに投資する方法もあります。戸建住宅に限定せずに他の物件に投資してもいいのでは?と思う方も多いかと思いますが、戸建住宅にリノベーション投資する方法は他の住宅物件に投資する方法よりもはっきりとしたメリットがあれば話は別です。
戸建住宅にリノベーション投資は「利回り」「入居期間」「需要」「管理」「出口戦略」の面でメリットがありますので解説していきます。
「利回り」
リノベーション投資用物件は低額で、市場感覚的には500万円前後の価格帯の物件が重用されています。他の投資物件と比較しても低額ですので、投資には重要な初期投資費用が抑えられることになります。また維持費が抑えられることやリノベーションにより高めの賃料設定がしやすいため「利回りが出やすくなる」というメリットがあります。
「入居期間」
戸建住宅という特性から入居希望者はファミリー層が多く、共同住宅とは異なり住環境が独立しているため近隣トラブルが少ないことから「入居期間が長くなる」傾向にあります。一度入居すれば家族構成、生活拠点の変更がない限り退去につながる理由が見つけづらいため、空室リスク減少・長期間にわたる安定収益が望めます。
「需要」
賃貸物件の多くはアパートやマンションといった共同住宅で、賃貸物件全体に占める戸建住宅の割合は非常に低いのですが「戸建住宅を借りたい」と思う方は多く、供給量に反して「需要は高い」のが特徴です。需要が高いため、周辺相場より家賃を高めに設定しても入居者が決まりやすく、常に空室リスクを心配しなければならない他の物件と比べて、強気の賃貸経営ができます。
「管理」
共同住宅は多数の入居者が1棟に居住しているため、入居者管理や敷地清掃等、思いの外管理に手間がかかります。その点、戸建住宅は1世帯入居のため管理が容易で手間が省けます。これは維持費・管理費等の削減にもつながることになり、戸建特有のメリットといえるでしょう。
「出口戦略の出しやすさ」
不動産投資には出口戦略、つまり「売却」です。もともと低額で購入した物件ですので、物件が老朽化したり、入居者が退去したりした際には「売却」の手段が取りやすいのが魅力です。何億円も投資した一棟マンションの売却では、そう簡単には売却判断はつきづらいものです。低額で買った物件を10年ほど運用して買った当時の金額で売約できる。これが「投資案件」としての最大のメリットでしょう。
4. まとめ
今回は戸建住宅にリノベーション投資をするメリットについて解説しました。
投資には投資価値があるかどうかの判断が必要ですが、戸建住宅への投資は低額で収益性の高いものとも言えます。それに加え、戸建リノベーションの最大の魅力は投資家の「遊び心」が反映しやすいことです。内壁を取り壊して2間を1間にする、押入れをつなげて大型収納に変えるなど、世間のニーズを汲んだ「遊び心」満載のリノベーションを楽しみたい方には戸建のリノベーション投資も考えてみるのもいいかもしれません。