スケルトン天井のリノベーション
住宅の種類や目指す方向によってリノベーションの最適な方法は大きく変わりますが、最近では天井をスケルトン化することで、室内を広く見せたりデザイン性をアピールしたりする手法が流行しています。ただし、スケルトン天井にはメリットと同時に注意しなければならない点も存在します。メリットとデメリットをよく理解した上で、スケルトン天井へのリノベーションを検討してみましょう。
スケルトン天井とは
スケルトンと聞くと、透明のガラスのような物体をイメージするかもしれませんが、リフォームやリノベーションの場合では、内装や設備、間仕切り壁などを取り払い、建物の骨組みや構造体があらわとなった状態のことを表します。コンクリート造マンションであればコンクリートが剥き出しの状態、木造住宅であれば木材の骨組みが剥き出しの状態となります。
一般的な住宅の天井は、下地や仕上げ板、天井板などを取り付けることで天井裏と呼ばれる空間が存在し、天井が少し低くなる代わりにダウンライトの自由な設置や、配線が隠れるため見栄えをよくなるといったメリットがあります。スケルトン天井では、それらを全て取り払い、二重天井を取り壊して直天井の状態とします。
また、スケルトンへのリノベーションでは、家を支える骨組み部分に手を加えることはないため、基本的に耐震性などが低下することはありません。
スケルトン天井のメリット
スケルトン天井にリノベーションすることで、天井を30センチ以上高くすることが可能となり、部屋の広さや開放感を演出することができます。また、スケルトン天井を作ると同時に、1階から2階を吹き抜けにすることで、高い位置に設置した窓から採光しやすく、日当たりの悪さなどのカバーや室内の風通りの改善、コミュニケーションを取りやすくすることなどが可能です。
そして最近では、デザイン性の高さという観点からもスケルトン天井へのリノベーションが流行となっています。これまでは天井のラフな仕上がりや、配線や配管などを隠すために二重天井が活用されてきましたが、あえてラフなコンクリートのスラブ面を露出させることで、ユニークな雰囲気を演出したり、露出した排気ダクトや電気配線のカバーをおしゃれにデザインしたりすることで、個性のある空間を作り上げる人も存在します。
また、フラットで綺麗なスケルトン天井を希望する場合はデザインクロスなどを貼り付けることで、部屋のイメージを自分好みに変えることが可能です。
スケルトン天井の注意点
スケルトン天井はデザイン性や開放感に優れていますが、リノベーションするにあたって注意しなければならない点がいくつか存在します。
まず、天井を高くして室内容積を増やしたことや、板を取り外したことで冷暖房効率や防音性などが低下する可能性があります。また、天井裏の空間がなくなることで外気の影響も受けやすくなるため、太陽光の輻射熱対策として新たな断熱対策が必要となる場合があります。
さらに以下のような住宅の場合では、スケルトン天井にリノベーションすることができない場合があるため、事前に確認しておく必要があります。
- 天井裏に断熱材が貼られている場合
- 天井の骨組み部分が鉄骨の場合
- 天井裏にある配線や配管の変更が難しい場合
特に、1970年代以前に建てられたマンションでは天井裏配管が一般的で、リノベーション可能でも余分な費用がかかる可能性が高く、マンションの最上階の部屋についても天井裏に断熱材が貼ってあるケースが多いため、スケルトン天井は不向きといえるでしょう。
天井のリノベーションに注目しよう
リノベーションは家の雰囲気や利便性を大きく変えることができ、うまく活用することで住宅の価値を大きく高めることが可能です。家の間取りを変更するリノベーションは一般的ですが、部屋を広く見せるためには天井に変更を加えることも一つの方法です。普段はあまり気にしない天井をデザインすることで、生活空間の印象を大きく変えることができます。