空き家増加時代に注目すべき投資手法とは
現在、日本では空き家問題が深刻となっています。少子高齢化などのさまざまな要因により放置されている空き家が増加し、災害や衛生面、犯罪によるリスクが高まり、特に地方部では関心が高い問題となっています。
しかし、空き家が多数存在している現状で不動産投資を考えると、逆に空き家がプラスとなる部分も存在するのではないでしょうか。空き家を有効利用することができる不動産投資の方法について紹介します。
空き家の増加
現在、全国的に空き家問題が深刻になりつつあります。総務省が公開した「住宅・土地統計調査」で空き家の数の推移をみてみると、1983年には全住宅数のうち5%以下だった空き家の数は増加し続け、2013年には13.5%となりました。その内訳を確認すると、賃貸または売却用住宅の空き家は減少していますが、そのほかの住宅は大きく増加していることがわかります。
また、空き家率の高い都道府県は山梨県が22.0%でトップとなり、長野県、和歌山県、高知県と続き、やはり、空き家は都内ではなく地方に多く分布していると言えます。
国土交通省 国土交通政策研究所が発行する機関誌にある「空家の現状とそれをとりまく制度の状況について(その1)」によると空き家が発生する理由としては、少子高齢化、核家族の増加、中古住宅の流通システムなどがあげられています。
国土交通省住宅局が公開した2014年「空家実態調査」によると、空き家にしておく理由として「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「将来必要かもしれない」などが大きな要因となっていることがわかります。さらに、空き家となった住宅の取得理由として「相続として取得」が56.4%を占めていることも特徴的です。
空き家の問題点
空き家が増加すると、主に以下のような問題が発生します。
- 防災性の低下
- 防犯性の低下
- ごみの不法投棄
- 衛生面の悪化
- 景観の悪化
- その他
空き家は地震などにより倒壊する可能性が高く、さらに木造住宅が適切に管理されていない場合は放火事件が起こる危険性があります。総務省消防庁によると2015年度の火災原因のうち、放火が10.3%でトップとなっています。また、空き家は不審者のたまり場として利用される可能性も危惧されています。
さらに、老朽した建物や手入れがされない落ち葉や雑草などは、景観の質を大きく下げる事になります。国土交通省が2009年に調査したアンケートによると、地域の住民は景観の悪化に最も関心を寄せていることがわかりました。次いで防災や防犯機能の低下、ゴミの不法投棄、火災の誘発などがあげられています。
空き家を活用する取り組み
空き家を有効活用するため、現在リフォームやリノベーションという手法に注目が集まっています。国土交通省では「空き家再生等推進事業」として、空き家住宅などを対象に、所有者の特定や取得、移転、増改築などの費用を助成しています。
実際に、空き家をリフォームした事例として、壁・床板の腐食や窓ガラスが割れたままのような賃貸ができない状況の物件を、内装を全て新調、間取りを取り払ってLDKへ変更するというパターンもあります。
このように、活用しようがないと思われている空き家であっても、リノベーションすることで賃貸物件として利用することが可能となります。開放感のある賃貸物件として入居希望者からの連絡もくるようになるでしょう。
空き家のリノベーションは今がチャンス
空き家問題は特に地方で大きな問題となりつつありますが、リノベーションするための物件の購入を検討している方にとっては、投資としてはむしろチャンスといえるかもしれません。
空き家が至るところに存在する現状では、空き家の立地やリノベーションにかかる費用をよく見極めることで、効率のいい投資へと繋がります。また、国の助成を受けられる可能性もあるため、検討するには絶好の機会といえるでしょう。