【不動産投資の経費とは?どんなモノが経費にできるか節税の参考に】
不動産投資は事業性が高く、税金のことなどお金の流れに詳しくなることが収益性アップにつながります。
どんな項目が経費にできるか知っておくと、課税対象になる所得の心づもりがしやすくなりますし、修繕のタイミングなど運営の計画を立てるときにも役に立ちます。
では実際に、どんなものが不動産投資の経費として考えられるのか見ていきましょう。
1.不動産投資による節税で経費が重要な理由
『所得=収入-必要経費』
不動産投資では、家賃収入と物件売却が収入の基本になります。
いきなり収入全体に課税されるのではなく、事業で収入を得るために必要とした経費を差し引いた「所得」が課税対象です。
不動産投資による収入は、確定申告をおこなって納入しますから、どれくらいの所得になるのか知っておけば、納税額の予想がつきキャッシュフローの計画が立てられます。
投資といっても、不動産投資は事業経営の手腕が成功を左右するといわれるのは、いつどんなアクションを起こすのか、税金の仕組みを知っていてお金の流れをコントロールする能力があることが成功の鍵になるからです。
『所得は経費で増減する』
税金は所得に税率をかけて計算しますから、所得が増えるとそれだけ税金が高くなります。
同じ収入でも、必要経費が大きくなれば所得が小さくなりますから、税金も少なくなるのです。
経費として計上できる項目を知らずに実際より経費を少なく申告しても、「こんな経費が漏れていませんか」と教えてもらえるわけではありません。
その一方、経費としてグレーなものを計算に入れていた場合は、申告時に「この経費は認められません」となり、予定していたよりも納税額が多くなってしまうということがおきてきます。
ですから、実際には税理士などのプロに会計処理を相談しながら進めている不動産投資家が多いのです。
必要経費の使い方次第で所得が増減されますから、タイミングよく効果的な使い方ができる知識を持っていることが、手残りの多さに直結してくるのです。
『余すことなく必要経費を計上』
- 必要経費にできる項目をしっかり押さえる。
- 集客への効果・節税の効果を考えて経費支出のタイミングを決める。
このように、必要経費になりうる項目について知っていること、必要経費として投下した資金がどんな効果を生むのか目的を持って支出コントロールできることが、不動産投資成功には大事なのです。
サラリーマンで源泉徴収をおこなっている人は、申告時の所得がマイナスになると、損益通算で税金が還付される可能性があります。
不動産投資でマイナス50万円、本業の所得400万円だとすると、全体の所得が400万円-50万円=350万円となります。
本業の400万円に対して源泉徴収されていた税金を、350万円に対する税金に訂正され差額が還付されるというのが損益通算による還付です。
2.不動産投資の経費にはどんな種類がある?
- 租税公課
不動産物件にかかる固定資産税・都市計画税、不動産取得時の取得税や登録免許税など - 損害保険料
建物の火災保険・地震保険、補償保険など - 減価償却費
建物の減価償却費(建物の用途・構造に応じて決められた耐用年数に応じて年間に計上できる額が決まっています。)
中古物件では、この耐用年数を過ぎている場合、もとの2割の期間を耐用年数として考えます。 - 修繕費
外壁の塗装、ドア、トイレ、台所、換気扇など備品の入れ替えや修理、畳の入れ替え、クロスの張替えなど、原状回復範囲での修繕が対象です。
改造や非常階段取り付けのように物理的に付け加えた費用については、資本的支出として区別されます。
3年以内の周期的な修繕で20万円未満の場合や、判断がつきにくいものの60万円未満の場合には、修繕費に計上できます。 - 借入金利息
借入金については経費にできるのは、利息部分だけです。
ローン返済額があって、手元からお金が減っていても経費になりません。 - 管理費
管理会社への支払い、修繕積立金など(自己管理しているなら共用部分の光熱水費も) - 広告宣伝費
入居者募集の広告を出した場合の費用 - 交通費
管理会社との打ち合わせ・物件を見に行くための交通費、セミナー参加の交通費も含めることが可能 - 通信費
管理会社との連絡、物件検索のインターネット費用(プライベートと共用なら3~4割程度) - 新聞図書費
新聞代や書籍購入についても、事業運営のための情報収集という観点で計上可能 - 接待交際費
不動産屋との売買商談、管理会社や税理士との打ち合わせ、関係者との勉強会などで飲食をした場合の費用 - 消耗品費
物件撮影のためのカメラ、業務に使用するPC・プリンターなど - その他、税理士に依頼した場合にかかる費用
セミナーの参加費、会計業務を委託、確定申告書作成などを依頼した場合の報酬など
一覧を見ていくと、広い範囲で必要経費としてあげられる項目があることがわかります。
また、不動産投資では物件購入で大きな資金が動きますが、減価償却費として複数年に渡って計上されること、ローンの支払いでは利息のみが必要経費として計上できるのも特徴的です。
実際のお金の流れとは違う部分がでてきますが、そこを理解したうえで納税に備え、手残りを確保した経営が必要になってくるのです。
3.不動産投資の経費に関する注意点
『納税は国民の義務』
できるだけ納税額を少なく済ませることを節税という言い方をしますが、グレーな必要経費を無理やり含めると「脱税」になってしまいます。
一般常識に照らして、事業収入を得るために必要な支出の範囲内で、取りこぼしがないように計上しましょう。
また、確定申告時に通っても後々「おたずね」として問い合わせがきて、追徴課税されるケースがあります。
税理士に書類作成を依頼した場合には、税理士の責任で税法に照らし合わせて会計処理が行われます。
『所得を小さくするデメリット』
節税の観点からは、必要経費が大きいと、所得が小さくなり納税額が抑えられるのが賢い経営方法に思えます。
しかし、不動産投資の世界では、融資を効果的に使って所有物件を増やして規模拡大する経営スタイルがあります。
この場合、何年も赤字になって損益通算で還付を受けていると、融資がつきにくくなるデメリットがでてきます。
融資は、投下した資金をつかってどれだけ大きな所得を生み出しているかが審査されます。
事業としてしっかり稼ぐ将来性や経営能力が見られているのです。
節税を狙って不動産投資による「所得がとても少ない・マイナスになっている場合」では、経営手腕の評価が低くなってしまい、なかなか融資がつかないということになります。
『納税を含めたキャッシュフローを正確につかむ』
不動産投資では、現金の流れを正確につかんで資産を増やしていくことが肝になります。
それには物件のポテンシャルを見抜く不動産の目利きと、税制の知識を使ってお金の流れを管理することが大事なのです。
納税は現金を動かさなければなりませんから、計画的に経費を使い、確定申告での納税額を正確に把握し経営を進めていきましょう。
4.まとめ
- 所得をコントロールする上で必要経費についての知識は重要アイテム
- 必要経費を増やして所得を減らすと納税額は圧縮できる
- 所得が少ないと融資がつきにくくなるなどのデメリットも知っておく
不動産投資を始めるにあたって税制について勉強をしておくと、目的に合わせてより良い選択ができるようになります。
「所得を減らして納税額を抑えることが得をする」という考えだけでは、不動産投資を成功させることはできません。 知識を増やして、経営手腕を磨いていきましょ