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不動産投資で法人化すると税金対策になる?法人化の注意点

不動産投資で法人化すると税金対策になる?法人化の注意点

何か事業を起こす時「個人事業主」としてその事業を進めるのか、それとも「法人」として事業を進めるかを多くの事業者は最初に考えます。

以前は不動産投資はいわゆる「地主」によって行われるものと思われておりましたが、最近では土地持ちではない個人オーナー(サラリーマンなど)による不動産投資が増えてきております。

不動産に投資をする上で大切なのはやはり「いかに収益をあげるか」ですが、この収益にかかる税金を「いかに抑えるか」を考えなければなりません。この税金を押さえる手段としてこの不動産投資運営を「法人化」して「節税」「税金対策」を考えられる方も多いかもしれません。ここでは不動産投資運営のため「法人化」は「税金対策」になるのか、そして「法人化」を進める上で気をつけなければならないことについて解説していきます。

1.   そもそも法人化とは?

法人化とは「会社の設立」を意味するもので、今まで個人で行なっていた事業形態を会社組織にすることをいいます。一般的にはその事業が軌道に乗った個人事業主が納めている税金を抑えるために会社を設立することが多く、この点から「法人化=税金対策」という色合いが強くなっています。

そもそも法人化は個人事業主では得られなかった「信用力」を高めるため、個人事業主に降りかかる業務上の責任(無限責任)を出資分を限度とした責任(有限責任)にするため、また社会保険に加入するため、といった側面もあります。

不動産投資の場合、取引金額が大きくなることが頻繁にあるため、信用性の高い「法人」でないと取引しないということもあります。また個人事業主であると金融機関から高額な初期投資費用の融資が受けられないというケースもあります。このような状況を打開するため、そして不動産投資を更なる大きなビジネスに発展させるための「法人化」と捉えることもできます。

2. 不動産投資で法人化は税金対策になる?

とはいえ、法人化する一番の理由はやはり税金対策であることは間違いありません。当然不動産所得は課税対象となりますが、法人化は給与面での節税、経費計上による節税、税金免除期間など税金対策項目が増えるため、結果として個人事業主として事業展開するよりも法人化した方が「節税」できると言われております。

具体的にはどのような税金対策があるのでしょう。ここでは法人化による節税の方法を説明していきます。

・不動産所得→給与所得による節税

個人事業主の不動産所得は給与・報酬という考え方はないため、不動産所得がそのまま所得税の対象になります。仮に1,000万円の不動産所得があった場合、所得税率は33%であるため330万円の課税となります。

これに対し法人化すると会社からの給与扱いとなり給与所得控除が適用できます。

1,000万円から給与所得控除額220万円が引けるため780万円が課税対象となり、所得税率23%を乗じた結果、約179万円が課税対象ということになります。この時点で個人事業主に比べ、約151万円の節税になります。

・所得分散による節税

法人化した場合、個人事業主と比べて家族を従業員とする場合の制限がなくなるため、所得の分散が可能となり、一人で多くの所得を得ることよりも複数の家族に分散することによる一人当たりの所得税率軽減が可能になり、同じ所得でも課税額が下がります。

・経費計上による節税

法人化により個人事業主と比べ様々な経費計上が可能になります。経費計上ができる項目が増えるということはすなわち節税につながります。

具体的には「社宅費用」「出張手当」「社員旅行」「退職金」にかかる経費が計上できます。

「社宅費用」は個人事業主の場合、自宅を事業用に兼用していないと住宅費については経費として計上することができないのですが、法人化した場合は社宅にかかる法人負担分が経費として計上ができます。家賃10万円の住宅を社宅として借り、法人が半分、社長が半分の割合で家賃を支払う場合、この法人分の半分が費用に経費参入できます。法人負担分は年間で60万円、法人税率を25%とすると15万円の節税が可能です。

「出張手当」は個人事業主の場合、自分が自分に手当を払うということになり控除の対象となりますが、法人の場合消費税上の課税仕入れとして仕入額控除が可能です。金額的には少ないですが、これも節税につながります。

「社員旅行」は法人の場合一定の条件(4泊5日以内、旅行費用が1人10万円以下など)を満たせば福利厚生費として経費参入可能です。個人にはこの概念はありません。

「退職金」は個人事業主にはありませんが、法人化すると退職金を設けることが可能になります。退職金は受け取る時期が退職時のため直近の節税にはつながりませんが、退職金には優遇税率が用いられているため、退職金取得時にはかなりの節税になります。ちなみに個人事業主が2,000万円の所得をもらう場合は約700万円の税金がかかりますが、勤続30年の方が退職金で2,000万円受け取る場合、税金は36万円となり約664万円も節税できます。

また法人が役員の退職金資金のために定期保険に加入した場合、かかる保険料の一定割合(一般的には1/2)が損金計上できますので、この点でも節税対策にはなるでしょう。

この他にも個人事業主の場合では認められなかった経費が法人化することにより認められ、結果として税金対策につながります。

・消費税免除事業者に伴う節税

資本金1,000万円未満で法人化をした場合、最大2年間、消費税免税事業者として消費税を納付しなくて済むことになります。2年間の年商がともに1,000万円であれば2年間で160万円の消費税(税率8%で計算)が免除されます。(ただし法人設立後半年で売上高が1,000万円を超えるような場合、または前年上半期で売上高が1,000万円を超える場合は消費税の納税義務者になりますので注意が必要です。)

3. 税金対策で法人化する際の注意点

ここまで法人化の税金対策について説明してきましたが、法人化するにあたってこの税金対策が何の効果もなければ意味がありません。

個人事業主の所得税は「累進課税」、法人は「一定税率」を採用しています。個人事業主の場合、所得が継続的に上がってきているのであればどんどん税金が上がっていきます。現在の所得を基準に個人事業主にかかる税率と法人化した際の法人税率とを比較して、どちらの事業形態でいる方が節税の恩恵を受けられるのかの判断をしなければなりません。

この判断水準は所得が500万円を超えた時点とも800万円を超えた時点とも言われますが、この判断には利益率と売上高の2つのポイントで判断することが重要ですので、一概に「いくらを超えたら」とはいえません。判断に困った場合は税理士に相談することをお勧めします。

また法人化することで「法人設立費用がかかる」「経営が赤字でも法人住民税の均等割(7万円)を払わなければならない」「社会保険等の加入義務」「税申告を専門家に依頼する」など個人事業主ではなかった費用がかかることも知っておく必要があります。

イニシャルコスト、さらにランニングコストも考慮しながら法人化を進めていくことが大事でしょう。

4. まとめ 

このように法人化によって税金対策としての効果が得られる可能性が高くなります。このような効果が常に得られるのであれば全ての事業者が法人化してもいいはずですが、そうではない事実も存在することを忘れてはいけません。「こんなに税金が下がる可能性があるんだ」というだけで法人化することはむしろ危険ともいえます。

「法人化=税金対策」も大いに結構ですが、法人化を考える際には事業状況、展望、収益予測等も重要視しながら進めていくことが賢明でしょう。

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