知らないと損かも!会社員が不動産投資で節税できるって本当?
会社員は自営業などに比べると収入が安定しているものの、節税が難しいとう側面があります。そういったなかで注目を集めているのが、不動産投資を活用した節税です。不動産投資は、資産を増やすだけでなく、節税のためにも利用できるということはあまり知られていません。この記事では、会社員が不動産投資を活用して節税する方法について解説していくので、ぜひ参考にしてください。
具体的に不動産投資をするとどの税金が節税できるの?
会社員の所得税は、給与が手元にくる前に会社から天引きされています。これは、会社員が支払うべき所得税を会社が源泉徴収し、本人に代わって会社が税務署に支払っているためです。ほぼ自動的に徴収されるため、節税しようという発想さえない会社員が少なくありません。実際、会社員は自営業者のように経費で落とせるものはほとんどないため、所得を低くすることは非常に困難です。また、株式などの資産運用で損失を出してしまったとしても、給与と相殺することは不可能です。
ところが、不動産投資に限っては、給与と通算して所得税を抑えることができるのです。株式などの譲渡益課税については「申告分離課税」という方法がとられています。
つまり、株式などの運用で発生した利益や損失については、会社からの給与とは全く別に処理されるということです。どれだけ株式などで利益や損失が出たとしても、給与の所得税には一切影響しません。
一方、不動産投資については「総合課税」という方法がとられます。所得税も総合課税であるため、総合課税同士でまとめて処理することが可能なのです。そのため、不動産投資を赤字で処理すれば、所得税を減らすことができます。
誤解されがちですが、「赤字」というのは不動産投資の失敗という意味ではありません。会社員にはあまりなじみのない発想かもしれませんが、不動産投資を「帳簿上」赤字にして、積極的に所得税の節税を行うということです。なぜそのようなことが可能になるのかというと、不動産投資はほかの資産運用と比べて事業としての性格が非常に強いからです。
管理費や修繕積立金、火災保険料といった賃貸運営に必要な費用を経費として計上することが可能なのです。
会社員と違って、賃貸運営に要した交通費や通信費も、簡単に経費として計上することができます。それどころか、ローンの利息部分さえ経費にできるのです。
所得税だけでなく、相続税にも不動産投資を活用することができます。会社員などの個人が現金を相続すると、非常に高い率の相続税が課せられることになります。しかし、現金を投資用不動産に組み替えることで大幅に評価額を下げることができ、節税へとつなげることが可能です。注目したいのは、相続する不動産の評価が時価ではないということです。土地については「路線価」、建物については「固定資産評価額」を基準に相続財産が評価されます。これによって、不動産の時価と評価額の差異を利用した節税方法が可能になるのです。一般的な投資用ワンルームマンションであれば、時価の3分の1程度まで評価額が下がることもあります。
赤字だけど赤字じゃない?節税する時に知っておきたい減価償却費とは?
不動産投資における利益は、売上から経費を引いて算出されます。つまり、経費を上手に計上できるかどうかが、不動産投資を活用して節税を行うカギとなるのです。不動産投資ではさまざまな費用を経費に計上することができますが、なかでも大きな割合を占めるのが「減価償却費」です。建物や設備などのように資産は、年々価値が減少します。こういった「償却資産」は、一定の期間にわたって費用として計上していくことができます。この費用が、減価償却費と呼ばれるものです。
減価償却費の最大の特徴は、費用として計上できるにもかかわらず、現金の支出がないということです。これは、事業として不動産投資を行っていくうえで、とても大切なポイントになります。現金の出入り、つまりキャッシュフローでは黒字であるにもかかわらず、帳簿上は赤字として処理することが可能になるからです。不動産投資が会社員の副業として注目されているのも、この点にあります。資産を増やしつつも、所得税の節約になるため、理論的には非常に優れた副業といえるのです。もちろん、誰でも簡単に成功するというわけではありません。減価償却費についてはやや複雑なルールがあります。不動産投資を成功させるためには、まずこのルールをしっかりと理解しておくことが不可欠になります。
減価償却費には、「定率法」と「定額法」というふたつの計算式があります。定率法では、毎年減価償却費が下がっていく計算になります。一方、定額法は、建物の耐用年数が終わるまで減価償却費が一定であるという違いがあります。
平成28年4月1日以後は定額法に1本化されているので、建物の取得時期について確認が必要です。また、減価償却の期間は「耐用年数」で決まることについても、知識を整理しておくことが大切です。耐用年数は建物の構造によって決められています。そのため、不動産投資の資金計画は、建物構造に大きく左右されることに注意が必要です。投資用物件を選ぶ際は、建物の価格だけなく、建物構造についても慎重に検討する必要があるのです。
もっとも耐用年数が短いのは軽量鉄骨造の19年、次いで木造の22年となっています。鉄骨造は34年で、もっとも長いのが鉄筋コンクリート造(RC造)及び鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)の47年です。なお、居住用以外の物件では同じ建物構造でも耐用年数が異なるケースがあるので注意が必要です。店舗用の場合、RC造・SRC造が39年と定められています。また、事務所用の場合は、木造が24年、RC造・SRC造が50年となっています。
不動産投資で節税する際の注意点
不動産投資を活用して節税を行う場合、減価償却の期間を考慮した資金計画を立てることが大変に重要です。減価償却費は不動産投資における経費に占める割合が非常に大きいのですが、建物の耐用年数を超えるとその部分がゼロになります。当然、経費として計上できる額が少なくなってしまいます。特に耐用年数が短い木造建築の場合は注意が必要です。耐用年数が短い分、物件価格に対する減価償却費として計上できる額の割合は大きめになっています。それがゼロになってしまうので、不動産投資の収支に与えるインパクトは決して小さいものではありません。定率法で計算される物件については、耐用年数を迎えていない場合でも、経費として計上できる減価償却費は逓減していくことにも注意が必要です。
また、ローンの返済期間についても十分に考慮しておく必要があります。ローンの支払いには「元金均等返済」と「元利均等返済」というふたつの方法があり、毎月の返済額が一定なのは元利均等返済です。どちらの返済方法を選んだとしても、ローン特有の落とし穴があるので注意が必要です。
あまり意識されませんが、毎月の返済額における元金と利息の割合は常に変化しています。特に元利均等返済はこの変化の割合が大きく、返済開始当初は利息部分が半分以上を占めているのです。そのため、返済開始から数年はローン返済額の約半分を経費に計上することができますが、やがて元本部分の占める割合が多くなり、経費として計上できる金額が少なくなってしまいます。
減価償却費とローンの元金返済額が逆転すると、以前のような節税方法が使えなくなってしまいます。その結果、帳簿上も黒字となり、所得税が増えてしまうことになります。この逆転ポイントは「デッドクロス」といわれ、不動産投資においてもっとも注意しなくてはいけないタイミングといわれています。もちろん、不動産投資を節税の手段として使えなくなるというだけのことであって、それを補う利益を生み出していれば何の問題もありません。ただし、節税だけを目的として不動産投資を検討しているのであれば、いずれこういった時期が来るということを理解したうえで資金計画を立てておくことが大切なのです。
【まとめ】長期的な不動産投資の計画を立て、上手に節税しよう
不動産投資は、資産運用を考えている会社員にとって大変に魅力的な手段です。資産を増やしていけるだけでなく、所得税を節約することもできるからです。
しかしながら、デッドクロスの問題などのリスクがあるのも事実です。そのため、長期的な視点で資金計画を立てることが不可欠です。自分に合った不動産投資戦略を考え、上手に節税を行いましょう。